アワビ

刻々旬々・能登の美味しい魚介[夏]

今も昔も貝の王様

アワビ

アワビを食べると眼の病気や骨折が治る?
妊婦に食べさせると良い?
生で食べる以外に、煮たり、焼いたり、干したり、蒸したり。
これほど様々に調理される貝は他にないでしょう。
滋養溢れる食材。
そんなアワビのあれこれを探ってみましょう。

アワビの形態

アワビは、だ円形で平たい殻をしているためにアサリのような二枚貝に見えるかもしれませんが、実はれっきとした巻貝の仲間。巻貝といえば、例えばサザエのような高く巻いた殻を思い浮かべますが、アワビの殻はとてもゆるく巻いているので、このような形になっているのです。殻の肩沿いには「呼水孔(こすいこう)」と呼ばれる低く盛り上がった穴が並んでおり、殻の下側から取り入れた海水をこの穴から吐き出すことで呼吸します。殻の表側には「肋(ろく)」と呼ばれる盛り上がった部分があり、殻の頂点から放射状に伸びています。

食べた海藻の種類によって貝殻の表側の色が変わり、ワカメやカジメなどの褐藻類を食べているものは赤褐色ですが、養殖などで水底についた珪藻を食べているものは濃い緑褐色になります。貝殻の内側には真珠のような美しい光沢があるため、昔から薄く削いで漆器など工芸品の螺鈿(らでん)や、魚釣りのルアー(疑似餌)としても使われて来ました。

螺鈿/錦糸瓜蒔絵吸物椀(蓋裏一部拡大)/巻岡友吉 作(石川県輪島漆芸美術館 所蔵)

アワビの仲間は世界中でおよそ100種類いますが、日本では一般にクロアワビ・マダカアワビ・メガイアワビ・エゾアワビをまとめて「アワビ」と呼びます。クロアワビは殻がやや細く、殻の表側の凸凹がはっきりしていることが特徴です。御貝(オガイ)とも呼ばれ、天皇家や伊勢神宮への奉納品に用いられるなど、最高級のアワビとして扱われます。他にメガイアワビの対として雄貝(オンガイ)と呼ばれたり、殻や身が黒いためにクロガイと呼ばれたりもします。

メガイアワビは、クロアワビよりも殻の幅が低く平らで呼水孔も低いことから、かつてはクロアワビの雌と考えられ、雌貝(メンガイ)と呼ばれることもあります。また、足裏の色が淡黄褐色で果物のビワのような色をしていることからビワガイと呼ぶこともあります。

マダカアワビは国内で最大のアワビですが、漁獲量が少なくめったにお目にかかれない「幻のアワビ」でもあります。殻に丸みがあり、他のアワビよりも呼水孔が大きく盛り上がっているため、この呼水孔を眼に見立て、「眼が高い」ことからこう呼ばれるようになりました。足裏が暗緑色をしていることからアオガイと呼ばれることもあります。

エゾアワビはクロアワビの亜種で、貝殻の内唇(ないしん)と呼ばれる部分がクロアワビよりも細いなどの特徴がありますが、クロアワビと同じ場所で育てるとその特徴は消えてしまいます。

前の記事

サザエ

次の記事

アイナメ