金時草

石川の食材・加賀野菜

金沢の食文化を支える加賀野菜の一つ「金時草(きんじそう)」。
葉の裏側が赤紫色で金時芋(きんときいも)の色に似ていることからこの名がつきました。
伝統を絶やさぬよう、一株一株、大切に育てられています。
夏が旬の金時草は、生命力が強く栄養豊富。
金沢では、暑い日に酢の物でいただくのが一般的です。
今回は、絶景を望む畑で試行錯誤を重ね、
鮮やかな色を生み出す農の匠・西 佐一さんにお話を伺いました。

美しき加賀野菜

山頂に畑?

石川県で金時草の栽培が始まったのは江戸時代。北前船(きたまえぶね)で伝わり、家庭用に作られていました。今回取材で訪ねた金沢市俵原町(たらわらまち)は金時草の代表的な産地です。父親の代から40年以上金時草を栽培している西さんの畑は、鳥のさえずりが響き渡る自然豊かな標高100mにあります。山地特有の寒暖差が発色を良くします。 

美しい色の秘密

「金時草は色が命」。そう話す西さんが鮮やかな赤紫色を出すために独自に見出したのが剪定です。株の状態を観察し、隙間を作るために扇形に整えます。風と光が入りやすくするためです。のびのび育った株は、茎が太く節の感覚が短くなります。また、葉の厚みが出て粘り成分が蓄えられ、より美味しい金時草になるそうです。

西さんは夜露が光る明け方に収穫し、水分を含む瑞々しいまま出荷に備えます。美しい色が出ても、太陽の赤外線が当たりすぎると赤紫色が失われるため、管理が難しい金時草。苗の準備から出荷まで手間を惜しまず"今できること"を考え抜いて育てられています。