ブリ

刻々旬々・能登の美味しい魚介[冬]

ブリは、日本の祝いの魚

ブリ

北陸の海に寒ブリの到来を告げるのは、
荒れ狂う日本海に響き渡る大音量の雷鳴と、
吹雪の中で天地を切り裂く雷の閃光。
毎年必ずやってくるこの荒天を、
北陸では「ブリ起こし」と呼びます。
今年も、日本海の「ブリ起こし」がはじまる季節となりました。
昔からブリは日本人に愛されてきた魚のひとつで、
日本海で獲れる「寒ブリ」は、
特においしいと言われてきました。
また成長とともに名前の変わる
出世魚であることから、
「縁起が良い」と祝事に利用されるようになり、
日本の祝い文化をかたちづくる役目を果たしています。
こうして祝儀魚として大切にされてきた、
ブリの魅力をご紹介します。

ブリの歴史

ブリは沖合を回遊する大型魚なので、漁業が発達する江戸時代までは、日本人にあまり知られていませんでした。平安時代の書物にも、ほとんど記録がないほどです。江戸で出版された食べ物の百科事典『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』(1695年・元禄8年)には、ブリについて「丹後(たんご)の産を上品のものとし、越中の産がこれに次ぐ」と記されています。

現在では、氷見や能登など北陸がブリの名産地ですが、江戸時代には、丹後半島周辺がブリの本場であったようです。今でも年の瀬になると、京都の錦市場には天然ブリがずらりと並びます。当時この丹後で獲れたブリが、大消費地の京都に送られ、出世魚としての普及に拍車がかかったのです。京都はご存知の通り、公家文化発祥の地。序列と階級を強く意識してきた土地柄に定着を始めたブリは、成長とともに肩書きが変わることで、出世、昇進につながる縁起の良い魚としてもてはやされるようになりました。

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