コナガニシとよく似たナガニシとの見分け方

オレンジ色の海面に覆われたコナガニシ。
赤い足が見えている。

コナガニシは、ナガニシと同じく殻の口の下へと伸びる細長い水管がとても特徴的。
両者の外見はとても似ていますが、コナガニシの殻はよりふっくらとしています。
薄くて硬い殻は長さ10㎝ほどで全体に細い筋があり、殻の口はこげ茶色をした厚い角質のフタで閉じられます。
また、コナガニシもナガニシもビロード状の殻皮と呼ばれるものを殻にかぶっているのですが、コナガニシの殻皮はナガニシよりも少し濃い茶色をしています。
さらにコナガニシはその上にくすんだオレンジ色の海綿をつけているので、一見すると貝だか何だかわかりにくい姿をしています。

稚貝のころから弱肉強食

石川県ではコナガニシは、刺し網や桁網漁などで周年で獲られます。
産卵は5月下旬〜7月上旬にかけて、卵嚢と呼ばれる卵が入っている袋を40個ほど海底に産みつけます。
かつてこのような貝の卵嚢は半透明で丈夫なことからウミホオズキと呼ばれ、植物のホオズキのように口に入れて鳴らすオモチャとして祭りの縁日などで売られていたそうです。
一つの卵嚢の中には160個ほどの卵がありますが、生まれるのはこの中の一割ほどで、残りは発生を途中で止めてしまい、成長する幼生の栄養源となってしまいます。
これもコナガニシなりの生き残りをかけた戦略なのでしょう。
近年、広島県では漁獲量が減って価格が高騰しているため、人工種苗生産によって稚貝を放流し漁獲量を増やす試みが行われています。

コナガニシの卵嚢。
産卵直後は右のようにたくさんの卵があるが、
数週間後には左のように数が減ってしまう。
画像提供:石川県水産総合センター