刻々旬々・能登の美味しい魚介[秋]

大きな瞳がチャームポイント

メギス

鱚に似ているから似鱚(にぎす)と名づけられたようですが、
大きな目を持つことから
石川県ではメギスと呼ばれています。
鮮魚は痛みやすいためあまり流通しませんが、
干物では馴染み深いかもしれませんね。
淡白ながらも旬にはたっぷりと脂がのり
独特な風味が深い味わいを生みだします。
実は石川県が漁獲量日本一のメギス、
その姿に迫ります。

メギスの形態

体長は大きいもので約20㎝ほど。少し左右から押されたような円筒形の体つきをしていて、大きな目がよく目立ちます。下顎は上顎より前に突き出していて、あまり大きくない口の中にはとても細かい歯が並んでいます。体を覆う大きな丸いウロコは青みがかった鮮やかな銀色をしているのですが、このウロコは剥がれやすく、なかなか店頭でこの美しい色を見ることはできないようです。側線から上の背中側には、黒褐色の斑模様が7〜10個ほどあります。また、メギスには背びれと尾びれの間に脂びれという、他のひれよりも肉厚で小さいひれがあります。この脂びれはあまり目立たないのですが、同じ脂びれを持つニジマスで実験したところ、これを切ってしまうと泳ぐ時に尾びれの動きが大きくなることから、このひれは水の流れを整える大事な役割を果たしているのではないかと推測されました。つまり、脂びれがあるおかげで尾びれを効率的に動かすことができ、泳ぐ時の負担を減らしているのではないかと考えられています。小さい器官とはいえ、生き物の体に無駄な部分はないのですね。

メギスの産卵

メギスの産卵は1年を通じて行われますが、春と秋の2回、産卵のピークを迎えます。また、一度産卵したメギスはそれで産卵を終えることはなく、1年のうちに何度も産卵すると考えられています。産卵数は1500~8000個ほどで、およそ直径1.5㎜ほどの大きさの卵は産み落とされるとすぐにバラバラになって海中を漂います。孵ってすぐの仔魚は全長4㎜ほどですが、満1年で体長約12㎝、満2年で約16㎝、満3年で約18㎝、満4年で約20㎝、満5年で約22㎝に成長します。雄が13㎝前後、雌が14㎝前後になると大人として成熟するようになり、満3年までには全ての個体が成熟するようです。