マナマコの栄養

干ナマコ(くちこ)作りの様子

マナマコは、中国では朝鮮人参と同じくらいの薬効があるとされ、「海参(ハイシェン)=海の人参」と呼ばれています。漢方薬としては、生で食べると腎機能の強化や解熱など、加熱して食べると肝機能の強化や増血・血行促進、強精に役立つとされています。

体の9割以上を水分が占め、100g中のタンパク質は4・6g程度。また100g中のカロリーは23Kcal、コレステロールが1㎎、脂質も0・3gと低いため、大変ヘルシーな食材です。しかし、カルシウムなどのミネラル成分は比較的多く含んでいるものの、ビタミン類やアミノ酸などはイカやカニなどと比べても少なく、栄養成分的に特筆されるものはありません。

干ナマコにすると旨味が増すのは、干すことで身肉に含まれるグリシンなどのアミノ酸が濃縮することと、肉中に存在する酵素によってタンパク質が分解されてアミノ酸が増加するためと推測されています。身肉にはコラーゲンを含んでいますが、これを口から摂取して健康や美容にもたらす効果については、科学的に十分証明されているわけではありません。コラーゲンはもともと生物の体組織中に普通に存在するものですから、効能を気にするよりも「マナマコの食感の素はこれなんだ!」と食感を楽しむほうがよいでしょう。また、一部のナマコは内臓にホロスリンという毒素を持っていますが、マナマコにはこの毒素がないため、安心して食べることができます。

マナマコの目利き

マナマコは、棲んでいる場所によって体色が違います。背が栗色と褐色が混ざり合い、腹が赤いアカナマコ(アカコ)、背が暗青緑色で、腹が黄から青色をしたアオナマコ(アオコ)、背も腹も黒いクロナマコ(クロコ)の3つの型があります。アカナマコは主に外洋の岩礁や転石帯に生息し、アオナマコやクロナマコは内湾の砂泥底に多く棲んでいます。

様々な体色のマナマコ

これら3種類は同じ種類として分類されていますが、前に書いたように生息域が違うほか、餌や体の特徴、習性などで少しずつ違いがあることから、最近では分類学上、別種や亜種として扱った方がよいのではないかという意見もあるようです。関東地方では身に弾力があって柔らかいアオナマコ、関西地方ではコリコリとした食感が強いアカナマコに人気があります。クロナマコは身が固いため、生食よりも干ナマコとして加工することが多いようです。

マナマコは冬季の冷たい水温を好み、10℃〜18℃の水温で餌を食べるなどの行動が活発になります。しかし初夏を過ぎて水温が上がってくるとだんだんと動きが鈍くなり、水温が25℃以上になると岩礁や転石の下などの暗い場所で夏眠に入ってしまいます。ただ、年間を通して水温の低い北海道では、夏眠をしないマナマコもいるそうです。夏眠の間はマナマコは餌を一切食べずにじっとしており、秋になって水温が下がり出すと、夏眠から覚めて再び活発に動くようになるのです。この夏眠期間はちょうど禁漁期間にあたり、ナマコ漁が解禁になる秋以降からマナマコの身入りもよくなってきます。解禁後すぐよりも冬が近づいて水温がぐっと下がるころがマナマコの旬で、「冬至ナマコ」と呼ばれることもあります。

マナマコ漁

生きたマナマコが店頭に並ぶときは、たいてい海水と一緒に袋詰めされているため、なかなか鮮度がわかりにくいものです。ですが、袋の外からでも鮮度の良いマナマコを選ぶコツがあります。体が太く短く締まっているもの、体の色がはっきりしているもの、皮に張りがあって疣足がはっきりしているものを選ぶと、鮮度が良く美味しく食べられます。逆に体の表面が溶けたようになっていたり、くたっとしているものは鮮度が落ちています。

加賀屋の味

加賀屋の味

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