刻々旬々・能登の美味しい魚介[冬]
健康に良いと注目のネバネバ食材
アカモク
アカモクが食用の海藻として
全国的に知られるようになったのは、
比較的、最近のこと。
それまでは新潟県や秋田県など
限られた地域で食べられていた
マイナーな存在でした。
ちなみに石川県は七尾市など
富山湾側では昔から食べられていたそうです。
ところが近年、
ヘルシーな食生活を志す人たちに
アカモクの栄養が注目されて
雑誌やテレビ・インターネットで
取り上げられるようになると、
一躍「時の人(海藻?)」として
扱われるようになったのです。
アカモクの由来
アカモクの「モク」は、藻屑(もくず)が縮まったもの。食用としてあまり重要な海藻ではなかったり、生えている場所からちぎれて「流れ藻」として海面を漂うことからこう呼ばれるようになったようです。文字どおり「海の藻屑」ということでしょう。
そういえば海面まで伸びたアカモクは、船のスクリューに引っかかったり魚を獲る網に絡んだりして漁師さんからは「邪魔モク」と呼ばれることも。
また夏の初め、この海藻が枯れる頃に赤褐色になることから「アカ」が名前についています。
アカモクはホンダワラという海藻の仲間で、このホンダワラ科の海藻は密集してガラモ場と呼ばれる藻場を作ります。
このガラモ場は小さな魚やエビ・カニなどが卵を産んだり外敵から身を隠して育つためには欠かせない場所で、「邪魔モク」と呼ばれて嫌がられる流れ藻もブリやメバルの仲間の稚魚が育ったりトビウオやサンマ、イカなどが産卵するのに重要な場所でもあります。
アカモクの地方名
アカモクには地方によっていろいろな呼び名があるのですが、その呼び名を使うと各地で違う種類のホンダワラ科の海藻が出てきたりして、ちょっと困ることもあります。
例えばジンバやギバサ。秋田県や山形県・新潟県ではアカモクのことを、こう呼びます。ところが、山陰でジンバといえばホンダワラのこと。漢字では「神馬藻(じんばそう)」と書かれ、神功皇后(じんぐうこうごう)の神馬に食べさせたことからこう呼ばれるようになったと言われています。
石川県の能登半島ではアカモクだけでなくホンダワラもギバサと呼ばれています。この地に残る源義経の馬にホンダワラ科の海藻を食べさせたという伝説から「義経の馬の藻=義馬藻(ギバサ・ギンバサ)」と呼ばれているそうです。
まあアカモクもホンダワラも同じ科の海藻でよく似ているので、伝わっていくうちに名前が混同されたのかもしれません。ちなみにアカモクをギバサと呼ぶ秋田県では、ホンダワラのことをジバサと呼ぶそうです。