アカモクの栄養と味覚
アカモクはカリウムやカルシウム、鉄といったミネラル成分を豊富に含んでいます。さらにアルギン酸やフコイダン、フコキサンチンなどの栄養素を多く有していることで、健康志向の人たちの注目が集まりました。
アカモクのぬめり成分の素であるアルギン酸は食物繊維の一種。人の体の中ででカルシウムやナトリウム、カリウムなどと結びついて血圧を整え、コレステロールの上昇を抑えます。
同じようにぬめり成分の素である食物繊維のフコイダンやアカモクを褐色に見せているフコキサンチンという色素には、近年の研究でガンができにくくするなどいろいろな効果があるとされています。
ただ、フコイダンやフコキサンチンの効果は今のところマウスを使った実験で証明されているもので、人間に対しても同じような効果があるかははっきりしていません。過剰な期待を持って食べるよりは美味しい海藻だと思って楽しんだ方が良いでしょう。
さて、そんなアカモクは特に変わった味がするわけではありません。葉のシャキシャキとした食感と、包丁で細かく刻んだときに出てくるメカブのようなヌルヌル・ネバネバを楽しむ食材です。
味噌汁の具にするのはもちろん、サラダや酢の物にしたり、冷奴の上に乗せたりといろんな食べ方ができます。
アカモクの豆知識
健康のために海藻を食べるのはとても良いことですが、アカモクなどホンダワラ科の海藻を食べる際には少し気をつける必要があります。
それはホンダワラ科の海藻に多く含まれる無機ヒ素。危険な毒物の一つとしてニュースなどで聞いたことのある方も多いでしょう。
一度にたくさん体に入ると発熱や下痢・嘔吐といった急性中毒を起こしますし、長い間取り入れ続けるとガンを発生させるなどの悪影響があると言われています。
ヒ素は地球上のどこにでもある元素でワカメやコンブなど他の海藻にも含まれているのですが、こちらは毒性がとても低い有機ヒ素なので心配することはありません。
それでは、ホンダワラ科の海藻を食べるのは危ないことなのでしょうか。
大丈夫、そんなことはありません。無機ヒ素への対処は昔からちゃんとされています。
と言っても別に大したことをするわけではなく、たっぷりのお湯で茹でるだけ。茶色い海藻が鮮やかな緑色に変わるまで約1〜2分ほど茹でたら、ザルに開けて流水で洗えば出来上がりです。
たったこれだけでホンダワラ科の海藻に含まれている無機ヒ素は激減し、体に害を及ぼす危険はなくなります。
もともとは採れた海藻が腐るのを防ぐために茹でていたのですが、実はこんな効果もあったのです。
ちなみにたまたまホンダワラ科の海藻を生でドンブリいっぱい食べたとしても急性中毒を起こすことはありませんので、あまり神経質になることはありません。
また、お店で売られているアカモクなどホンダワラ科の海藻の加工品は、あらかじめお湯で茹でられて下処理がされています。安心してお召し上がりください。