メギスの謎

メギスには各地でいろいろな呼び名があります。深い海に棲んでいることから「オキギス(沖鱚)」、目が大きくて潤んでいるように見えることから「オキウルメ(沖潤目)」などと呼ばれて親しまれています。北陸の福井・石川・新潟では、これもやはり大きい目のせいか「メギス(目鱚)」と呼ばれます。筆者は、子供の頃なぜか「雌ギス」だと思い込んでいて、なぜ「雄ギス」がいないのか疑問に感じていたことがありますが、それはさておき、同じ北陸でも富山だけは「ミギス」と呼ぶそうで、これはちょっとした不思議。たぶん「メ」や「ニ」の音が「ミ」へと変化したのだと思いますが、石川と新潟に挟まれているのに面白いものです。そういえば静岡県の沼津でもメギスと呼ぶそうですが、何か北陸とつながりがあったのでしょうか。それとも人の考えることはあまり変わらないということで、偶然の一致なのでしょうか。

メギスの栄養

メギスはクセのない白身に脂がしっかりのっていて、とても美味しい魚。値段も手頃な地元の大衆魚で、ほのかな甘味を感じる身にはEPAやDHA、ナイアシン、ビタミンB6が含まれています。ちなみに学術調査のために10月から2月の間にメギスを獲ったところ、2月のメギスがもっとも EPAやDHAを含んでいたそうです。これは春に迎える産卵のピーク直前だったために、メギスが身に栄養を蓄えていたことが要因と考えられています。なので、秋の産卵のピーク直前に獲られるメギスにもこれらの栄養が多く含まれていると考えられます。春と秋の産卵期のピーク前が体に栄養をたっぷり蓄えているため、一番美味しい時期だとされています。メギスを買う際には、お腹が張っていて目が澄んでいるもの、体に透明感のあるものを選びましょう。ふっくらと丸みを帯びた体つきのものが脂がのっていておすすめです。