刻々旬々・能登の美味しい魚介 [秋]

砂泥に潜む忍者魚

カレイ

秋になり底引き網漁が解禁されると、
食卓に並び始める「カレイ」。
美味なる高級魚であるだけでなく、
とても個性的な風貌を持つ、
魅力的な魚です。
自らが生活する海底の一部のように
体の色を変化させるカレイは、
北陸に旬の訪れを教えてくれます。

今回は、マコガレイをモデルに
カレイについてご紹介します。

鰈 カレイ
鰈・カレイ(マコカレイ)

カレイは種類が多い魚

世界で93種類、日本近海では39種類が分布しています。北極海、太平洋、インド洋、大西洋の沿岸の浅い海から水深1000mの深海まで幅広く生息する海水魚ですが、なかには、淡水と海水が混じりあった汽水域に生息する種もいます。

日本近海で獲れる主な種類は、マガレイ、マコガレイ、ババガレイ(ナメタガレイ)、ホシガレイ、メイタガレイ、アカガレイ、イシガレイ、オヒョウなど。カレイの特徴として、体は平たく、ヌマガレイなどの一部の例外を除き、内臓を手前に置いたとき頭が右側にきます。また、両目が体の片側についており、目のある側を上にして、砂や泥の中に潜(ひそ)んでいます。泳ぐときも同様に目のある側を上にしたまま泳ぎます。目のある側は黒褐色〜褐色で、なかには特有の斑点を持つものもあります。また、体表にある色素胞を広げたり縮めたりして体の色を周囲に溶け込ませることで、外敵から身を守ります。この体色の変態に要する時間は15分ほど。また、目のない側は、通常白っぽい色をしています。

そして、このように左右非対称なのは、目の位置と体色だけではありません。内臓も目のない側に偏っており、口や歯も左右対称でない場合が多いのです。また、背びれと尻びれが体の縁(ふち)のほぼすべてを覆うほど長いのも特徴で、特に背びれは頭部から始まっています。