マダイの産卵

マダイの産卵期は、春から夏にかけて海水温の上昇にともない南方海域から始まり北上します。海水温17〜20℃が産卵の適温。産卵初期では日没頃からですが、盛期では日中でも産卵行動を行います。

マダイの成熟は4歳頃。およそ10歳頃まで一産卵期に一尾の雌が1回15〜20万粒を5〜10回くり返す多回産卵型です。

主に水深20mよりも浅い暗礁付近や、起伏に富んだ岩礁の上部近い場所で、雄は雌を激しく追い上げる熱烈な求愛行動を繰り返します。この現象は、卵巣内に排卵された卵を産卵するためには、雄の追尾行動による刺激が必要になるためです。

卵は1㎜前後の球形。分離浮性卵で一個ずつバラバラに水中に浮かびます。受精水温20℃で約40時間、18℃では約50時間で孵化。孵化直後の体長は2㎜前後。30日後には約1㎝の稚魚に。1年で体長15㎝前後。2年で20㎝。3年で25㎝。4年で30㎝。寿命は30年以上といわれています。

マダイの回遊

日本近海に生息するマダイは、北は北海道以南から朝鮮半島南部、台湾を経て南シナ海まで分布。何故か沖縄近海には見られません。水深30〜200mの岩礁、砂れき海底近くを好み、小魚、甲殻類、頭足類、貝類、ゴカイ類など底生動物を捕食し頑丈な歯でかみ砕きます。

稚魚は、アマモ場でプランクトンを捕食し成育。全長1.5㎝くらいまでは浮遊生活をおくりますが、その後は着底生活をするようになります。

成魚になると春の産卵時期に浅場へ、冬は深場へ移動するという季節的な深浅移動を行います。

一方、千葉県の鯛の浦には、多くの鯛がすみつき回遊しない群もあるとみられています。

マダイの漁法

マダイは、キズが少ない一本釣りが高値で取引されます。一般には、定置網、刺し網、延縄、ごち網など様々な漁法があります。瀬戸内では流し釣。伊勢湾ではカブセ釣り。その他シャクリ釣り、ドンブリ釣りなど独特の漁法もあります。

天然マダイは海釣りの対象としても人気で、産卵期の春や、再び脂がのって深場へ移動する秋がシーズンです。

天然物の主産地は愛媛県、長崎県、三重県、福岡県など。養殖も盛んで市場に出回る多くは養殖物です。

シーズン中は釣りで賑わう七ツ島近海(輪島市)