サンマの謎

サンマが出ると、なぜ按摩が引っ込む?

旬のサンマは、不飽和脂肪酸や鉄分、タンパク質、カルシウム、ビタミンなどが豊富に含まれています。滋養分を多く含んだサンマを食べると、按摩(あんま)(医者)の世話にならないほど体調が良いといわれる諺(ことわざ)です。秋の産物が健康に素晴らしい役割を果たしているのですね。

ウロコを食べるサンマ?

サンマの内臓にウロコが多いのは、現在主流になっている棒受網漁法に関係しています。サンマの群を一網打尽にする漁法なので、捕獲時に大量のサンマが暴れもがくとウロコが剥がれ、呼吸と同時にウロコを飲み込むからなのです。内臓は美味しいといわれた時代のサンマは、別の漁法で獲れたサンマだったのですね。

泳ぐサンマを手づかみ?

実際にあった手づかみ漁のことで、新潟県佐渡や、北海道奥尻方面で見られたもの。海面に浮かべた穴あきムシロの下に海藻を吊るし、産卵に集まってくるサンマを穴から手を差し込み手づかみで捕らえるもの。多いときは一度に数匹も捕まえることができたそうです。

おいしいサンマの選び方

  • 黒目が濁らず澄んでいるもの。
  • 艶やかでバシッと張りがあるもの。
  • バラで販売しているなら尾部を持って、頭を上部に向けて棒のようにピンと立つものが鮮度抜群。
  • 頭の付け根から背にかけてずんぐりとして太っているものや、口先が黄色いものが脂が乗っているといわれます。

店頭にならぶサンマには、新物と冷凍物があります。昨今の冷凍技術は優れていて見分けがつきにくく、新物の表示が無いときは、お店の人に聞いてみるといいですね。

サンマの栄養

脂の乗ったサンマには、記憶力を高めたり、認知症の予防など脳細胞の活性化に有効とされるDHA(ドコサヘキサエン酸)や、血液をサラサラにし、動脈硬化や高血圧、脳卒中などの成人病予防に有効なEPA(エイコサペンタエン酸)など良質の脂肪酸が多量に含まれています。

また、旬のサンマの血合いにはレバーに匹敵するほどの鉄分が多く含まれ、大根おろしやレモンなどビタミンCと一緒に食べると効率よく吸収されます。貧血予防には最適な部位です。他にも丈夫な骨と歯をつくるために欠かせないカルシウム、そのカルシウムの吸収に欠かせないビタミンDも豊富。骨までバリバリ食べるといいですね。

サンマの食べ方あれこれ《地方版》

各地で見られるサンマ料理には、塩抜きしたサンマで作る姿ずし「さえれずし」(奈良)、三枚おろしの身を包丁でたたき、シソやショウガを加え味噌で味付けした「なめろう」(茨城)、焼いたサンマのほぐし身と、こんにゃく、青ねぎをみそで煮た「煮いみそ」(静岡)、熱いご飯の上にしょうゆ味のたたきをのせ、熱湯を注ぐ「サンマのまご茶」(千葉)、酢でしめたサンマを酢飯とともに昆布で巻き、ミカンの薄切りを添える「サンマずし」(和歌山)などがあります。