ズワイガニの栄養

ズワイガニの身肉には脂質や糖類がほぼ含まれておらず、高タンパクで低カロリーな食材です。他の甲殻類と同じようにグルタミン酸やグリシンなどのアミノ酸が多いため、旨味を強く感じます。亜鉛や銅などのミネラルも多く含んでいるため、前立腺肥大や貧血の予防に効果があると言われています。

さらに肝臓の働きを促すタウリンというアミノ酸を牛・豚の約11倍も含んでいますが、タウリンは茹で汁に溶け出してしまうため、活ガニを蒸したり焼いたりするか、茹で汁を出汁として使わないと上手く摂取できません。

ズワイガニ漁

カニ味噌には脂肪やグリコーゲンを豊富に含んでおり、イノシン酸により独特の旨味があります。しかし、ズワイガニの内臓に含まれる分解酵素は大変強力で、死ぬと自分の内臓を溶かしてしまいます。そのため美味しいカニ味噌を味わうには、活ガニが新鮮なうちに茹でるなど加熱処理する必要があります。

ズワイガニをはじめとしたカニ類はコレステロールが多いというイメージがありますが、実はイワシやサバが100gあたり65mg程度のコレステロールを含んでいるのに対し、ズワイガニの身肉は100gあたり44mg程度と比較的少ないのです。ただし、カニ味噌や雌の内子・外子などの卵はコレステロールが多くなっています。また、ズワイガニの身肉やカニ味噌には決して少なくない量のプリン体が含まれており、食べ過ぎると痛風を引き起こす可能性が高くなるとも言われています。美味しいからと言って食べ過ぎにはくれぐれもご注意を。

ズワイガニの目利き

甲羅に付いたカニビルの卵

ズワイガニの甲羅に付いている黒い粒は、カニビルという環形動物の卵です。輸入物と区別する際に、「カニビルの卵が付いていれば地物(日本産)」と言われることもあるようですが、カニビルの生息域については研究が進んでいないため、区別する方法として確証があるわけではないようです。

また、ズワイガニは他のカニと同じく脱皮することによって成長します。その脱皮の際に甲羅に付いているカニビルの卵も落ちてしまうため、カニビルの卵が多く付いている程、脱皮から時間が経っていてズワイガニの身入りが良いという話があります。

しかし、カニビルなどの環形動物は短いライフサイクルで産卵・成長を繰り返すため、脱皮したてのズワイガニにもカニビルがたくさん産卵する可能性があったり、茹でガニで売られる場合には、茹でる前にカニを洗ったときにカニビルの卵が落ちることもあるので、ズワイガニの身入りの目安になるかは難しいところです。

水揚げされたズワイガニ

ズワイガニの身入りを調べるには、やはり実際に手に取ってみるのが一番間違いがないでしょう。持った時にずっしりと重いものや甲羅を触って硬いものを選ぶのがコツです。甲羅が柔らかいものは脱皮したばかりで、身肉があまり詰まっていません。雌のコウバコガニも同じように、手に取って重いものに内子がたっぷり入っています。

また、店に並んでいるズワイガニを買う時は、腹を上にして並べられているものが美味しく頂けます。甲羅を上にして並んでいると、見栄えは大変良いのですが、カニ味噌が溶け出して身肉に染み込むことがあり、美味しい風味を充分に味わえないためです。近年は輸送手段や冷凍技術の発達により、新鮮な活ガニが容易に入手できるようになりましたが、店頭で活ガニを買う際には、腹側に注目して下さい。腹側が真っ白よりも薄くピンクがかっているものが鮮度が良い証拠です。

しかし、カニ刺しで食べたい!というこだわりがあるならともかく、自宅で大きな鍋を用意して活ガニを茹でるのは大変手間がかかりますし、鮮度が落ちやすいズワイガニは、水揚げされた場所ですぐに浜茹でされ、チルド冷蔵や冷凍されたものが手軽で美味しく食べられます。ご家庭で食べる際はこちらをお薦めします。