刻々旬々・能登の美味しい魚介
[夏-秋]
福を呼ぶ出世魚
フクラギ
紡錘形(ぼうすいけい)の体に
ブーメランのようなV字型の尾びれ、
目から尾っぽまで伸びた馴染みのある黄色の模様。
見慣れたはずの姿形ではありますが、
どことなくスリムで引き締まった体型をしています。
北陸ではこの時期によく見かける
生後一年未満のブリ、「フクラギ」です。
北陸の冬の風物詩として名高いブリは、
その他の季節には名前を変えて
食卓を賑わせています。
さすがは出世魚。隅に置けない存在ですね。
今回は、そんなフクラギについて探ってみましょう。
フクラギの成長
フクラギは大きくなってブリになると、春から夏にかけて日本列島の沿岸を北上し、冬から春になると南下してきます。
主なエサは、イワシやサバ、アジ、イカなど。それらのエサを獲るために北へと向かったブリはたっぷり食べて栄養を蓄えると、次はその栄養を使って産卵するために南へ移動し、2月から7月にかけて、主に九州近海や東シナ海で産卵します。
産卵期にはブリの動きは鈍くなり、水温19〜21℃あたりで盛んに産卵を行います。メスとオスが体をすり合わせ、逆立ちして放精放卵すると言われ、ブリ一腹の放卵数は、100〜150万粒です。
「ブリの産卵」にて詳しくご紹介しております。
生み出された卵はすぐにバラバラになって海中を漂い、2日ほどで孵化します。卵から孵った仔魚は海面近くを泳ぎ、体長1㎝ほどになると海面を漂う流れ藻の下に集まります。そのため、この時期の仔魚は「モジャコ(藻雑魚)」と呼ばれます。
流れ藻に集まったモジャコは、藻と一緒に暖流に乗って北へと運ばれていきます。
体長が10㎝ほどになると背側が青みがかったブリらしい姿になり、だんだんと藻から離れて沿岸で群れを作るようになります。
天然のブリは1年が過ぎる頃、体長が40㎝ほどに育ちます。フクラギと呼ばれるのは、この頃ですね。
そして、体が70〜80cmくらいに成長する3歳の冬が来ると、機は熟したとばかりに、いよいよ広大な世界へ回遊の旅を始めます。
「ブリの回遊」にて詳しくご紹介しております。
80㎝を超えてブリと呼ばれるには、さらに2〜3年かかります。寿命は7〜8年といわれ、大きなものでは1mほどにもなるのです。